ある柴犬の例を紹介します。この柴犬は子どもを見かけるとうなり声を上げるが、実際に噛みついたことはこれまでにただの一度もなかった犬です。この犬ははツメを切られるのが嫌いで、この他にも少々苦手に思っていることがいくつかありました。このケースで気をつけなくてはならないのは、飼い主が、犬は「絶対に噛まない」と信じ切っていたことです。
以前一度だけ子どもが犬のベッドに近づいたことがあったのですが、この時も犬はただうなり声を上げただけで、それ以上の行動に出ることはなかったです。しかしあとほんの一押しで犬は噛みつきの臨界点を越えていたのです。
もし犬に本気で噛む癖があったら、子どもの噛傷事故が新たに1件増えていたことは間違いないのです。飼い主は、犬はひどく挑発されない限り「絶対に噛まない」と信じているのですが、犬にとっては、危険要因全てが挑発の原因なのです。またこの犬の場合、空噛みと噛みつきの臨界点が非常に接近しているために、空噛みを一度も経験せずに一気に噛みつきの臨界点を越えてしまう危険性もある。
なおいずれかの攻撃行動の臨界点が全く現れない犬もいますが、これもけして珍しいことではないです。全ての犬が、きちんと一つ一つの段階を踏んで噛みつきの臨界点に到達するわけではないからです。
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